わしはお前を待っていたかのように(うしとら)
真っ暗なあの地下でわしは思っていた。忌々しい獣の槍を抜く者のことを。
あいつの言った、わしの背中を守る者のことを。
いつも外と地下を遮断する扉が開かぬか見ていた。
今にも扉が開き、光が差し込め、外の空気を吸い、人間を喰らうのだと考えていた。
――そして、あいつの言った、わしの背中を守る者を探してみようとも考えた。
扉が開いた時、わしは全てを忘れた。
忘れた……というよりも、どうでもよくなったのかもしれん。
馬鹿みたいに騒いでいるおめぇを見たら……な。
お前がわしを繋ぎとめていた槍を抜き、次はお前がわしを繋ぎ止めた。
何度別れても、わしておめぇは結局二人だった。……これはおめぇの台詞か。
なあうしお。これじゃあまるで、わしがおめぇを待っていたみたいじゃねぇか?
慈悲でもなく、哀れみでもない、(学校の怪談)
俺がさつきのそばにいるのは、佳耶子の願い……つーか半強制的に猫の体に入れられたんだけどな。
さつきは潜在能力が佳耶子よりあるから、心配したんだろうな。力のある奴は、お化けに狙われやすいからな……。
だが、この体に入ってたとしても、さつきを守る必要なんて何処にもねぇ。
気ままに旅に出たってよかった。俺はそうはしねぇけどな。
別にお化けに狙われて可愛そうだとか思ってるわけじゃねぇ。
さつきのためにいてるわけでもねぇ。俺様はそこまで優しくねぇ。
俺がさつきのそばにいるのは……自分のためだ。
慈悲の思いも、哀れみの思いもない。あるのは俺様の自己満足だけだ。
だから俺は今日もここにいる。
俺自身のために――。
まさに、地獄に舞う蝶(NARUTO)
地獄のような醜いところで舞う蝶は、きっと美しいのだろうな。
そう、今のナルトのように……。
今、ナルトの周りには死んだ忍が散乱している。汚れた赤い血の中に一つだけある穢れのない金。唯一無二の美。
赤の中でぼんやりしているナルトも美しいが、戦っているナルトはもっと美しい。
舞うような戦い方は、長年生きた俺でさえも目を奪われることがある。
金の髪が見えたと思えば、相手の赤い血が見える。
無駄な動きは全くない。ただ静かに、軽やかに動くだけ。そう、地獄に舞う蝶のように。
だからだろうか……。時々思う。俺はナルトのそばにいてもいいのか?
俺は紅。地獄の赤。蝶を捕まえる蜘蛛でなく、蝶を閉じ込めた地獄……。
「紅焔」
蝶が地獄の名を呼ぶ。それが心地いい。だから、閉じ込めておこう。
地獄のような醜いところだからこそ蝶は美しい。
地上のように美しいところでは、蝶は醜く見えるかもしれんしな……。
君の抱く劣等感に、心地よささえ(オリジ)
キミが大好きだよ。
キミの声が。髪が。瞳が。
僕が君を追い、君が僕を追う。
「矢羽は、いつも私の後を追いかけてくるのに、気がつけばいつも私の前にいるのね」
ほら、僕がキミの前に現れればキミは僕を見る。僕を追いかける。
キミの鈴のような声が僕の名を呼ぶ。漆黒の髪が僕を絡めとり、黒い瞳が僕を捕らえる。
「僕が前にいるんじゃないよ。菜月が僕の後ろにいるんだ」
「私は矢羽がにくったらしいわ」
キミはいつもそう言って、微笑むね。
笑顔なのに、その瞳には嫉妬の色と、悲しみの色が宿っているよ?
キミは自分が駄目だと思ってる?
キミが自分自身を責めるのを見るのは心地いいかもしれない。
ああ、僕は何処まで狂っていくんだろう……?
出会ったその瞬間から、お前のモノ(その他)今回はメタイキ
あの日、お前のメダルと、お前のボディーと俺は会った。
あの時は何も感じなかった。ただ、いつか俺もメダロットを手に入れるんだとしか思わなかったんだ。
だけど、アリカを助けるためにお前のボディーを買って、メダルを入れて、お前が目を覚ました時、俺の心は熱くなったんだ。
一緒に過ごすうちに、お前といるのが楽しくて仕方がなくなった。
どんなに強いメダロットだって、お前の代わりにはならない。
ボディーもメダルも、何も誰にも渡さない。
だけど、それは今に始まったことじゃない。
だって、お前が目覚めた瞬間から、俺はお前のモノなんだから。
だから俺を置いて行くなんて許さないからな。
俺はお前といる。お前は俺といる。……………俺の独りよがりでないなら、そうあって欲しいんだ。
俺はお前が好きだ。
俺の思いを理解してくれるお前が。
俺と喧嘩するお前が。
メダロットのクセに眠るお前が。
俺はそんなメタビーが大好きだ。
配布元 そんな,こんな