無理した笑顔の君へ5のお題
1.どうして笑うの?(オリジ)
ニコニコ。ニコニコ。ニコニコ。
あなたはいつでもニコニコ。
失敗してもニコニコ。人に笑われてもニコニコ。誰かに馬鹿にされてもニコニコ。
いつも笑顔のまま。
笑わないでよ。悲しんでも、怒ってもいい。笑わないで。
あたしだけにはあなたの本当を見せてください。
「それはできないね」
あぁ、どうして?
どうして、見せてくれないの……。
「だってボクは――」
聞きたくないっ!
聞きたくない!!
あぁ、こんな風になってもあなたは笑うのね。
死という恐怖の中でも、あなたは笑うばかり。
死してなおあなたは笑うばかり。
2.一人だと思わないでほしいのに(その他/ロマサガ2)
皇帝陛下はいつも仲間に囲まれております。
しかしながら、あのお方は肝心なときに仲間とおられません。
仲間に迷惑をかけると思っているのか、誰かに相談するのが面倒だと思っているのか……。真意は計りかねますが、我々家臣はいつでも陛下のお傍にいるのです。
私達が知らぬところで陛下が傷つくなどもってのほか。
我々は陛下のために命をかけることもできるのです。
私は陛下とともに戦ったこともない非戦闘要員ですが、いつも陛下のお傍におられる方々と気持ちは同じでございます。
陛下にはいつでも笑っていて欲しい。
陛下の傍にいたい。
陛下は、一人ではございません。
ですから、泣かないでください。
誰もいない場所で一人泣いておられるのはわかっております。我々はまっているのです。貴方様が自ら話してくれる日を。貴方様がたった一人ではないと気づくのを。
笑ってください。
貴方様の傍に私達はいます。
3.泣く寸前、涙をこらえて君は笑った(うしとら)
信用してても、裏切られる。
しかたないことだとわかってはいるものの、やはり悲しい。
獣の槍など、引き抜かなければて何度思ったことだろう。
槍がなければ、生死をかけた戦いなどしなくてすんだはずだ。
身体にも心にも、たくさん傷を負って、それでも戦い抜いてきた。
理由は簡単。死にたくないから。傷つく誰かを見たくないから。
だから戦い続ける。
「うしお」
愛しい獣が名前を呼んでくれるから。
「なんだよ」
まだ笑える。
うしおは心のどこかで安心した。
まだ、人間でいられる。まだ、生きている。
「う……しお、さん……」
獣の槍によって消滅していく妖怪が口を開いた。
少し前に知り合ったばかりだったけど、いい奴だった。
裏切らなければ、ずっと仲間でいられたのに。
「私……は……っ!」
妖怪は次の言葉を紡ぐ前にとらに潰された。
「こんな奴の声を聞くをじゃねぇ」
とらの優しさがうしおは嬉しかった。
だから、泣きそうだったけど、頑張って笑った。
4.笑顔の裏の真実は(NARUTO)
楽しそうな笑顔。
嬉しそうな笑顔。
幸せそうな笑顔。
全部。全部偽者だと知っている。
辛いことも、悲しいことも全部背負い込んだ笑顔だ。
「ナルト」
「ん?」
笑っている。楽しいからでも、嬉しいからでも、幸せだからでもない。いつの間にか身に付いた自己防衛のため。
「……何でもない」
「変な紅焔」
また笑う。偽者の笑顔。
何も知らない奴なら騙されるであろう笑顔。
「笑うな」
「え?」
小さく呟いた言葉はナルトに届かなかった。それでいい。
「どうした?」
「今、何か言わなかったか?」
「いや?」
「ふーん」
そうやって笑うのは辛いことばかりだったからだと知っている。
5.君が安心できるように、強くなるよ(サイクロ)
毎日毎日よく飽きないものだな。
トラブルを起こし起こされ。キッドも変わった星の下に生まれたものだ。
「しゃーねぇな」
面倒くさそうに、しかし楽しそうに言う。
天邪鬼でお人よし。
だから心配なのだ。
また傷つく。また悲しむ。また――。
「拙者も言ってやろうか?」
ふと出た言葉に自分でも驚いた。
拙者は自他共に認める快楽主義だ。自分から面倒に首を突っ込むなど、普段ならありはしない。
キッドも驚いたようで、目を丸くしている。
だが、次の瞬間ほんの少し嬉しいそうに表情を変えた。
その一瞬、拙者は嬉しかった。キッドはまだ拙者と共に行動することを喜びとしてくれている。
そう思ったのだ。
「――お前はここにいろよ」
淋しげな表情は全てをものがたっていた。
そうか。拙者が生身だから、同じ場所には立てんというわけか。
ならばその場に立てるだけの力を得よう。
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