パターン1 仲の悪い軍人+クロ

 緑の熊と、黒い猫が出会ってしまったとする。普通ならば、熊が猫を襲うか、熊はなんの興味も持たず去っていく。それが自然の摂理というものだろう。だが、そこにいたのは自然の摂理というものから少々はずれてしまった二匹だった。
「お前は中々やるみたいだな」
 軍人がニヤリと笑い、ナイフを握る。
「こんな惨状、始めてみたぜ」
 二人がいるのは血の海という表現が一番近いであろう惨劇の現場。肉片が飛びちったその場所は、常人にはとても耐えられるようなものではない。
 生きていた者達を肉片に変えたのは軍人だ。そこにたまたまあわられたクロは、その光景に思わず吐き気がした。殺人鬼と化した軍人は、当然のようにクロを新たな標的とした。
 殺気を向けられたクロは素早くガトリングを取り出し、軍人と戦った。
「いいんだよ。どうせ明日になったら元通りだ」
 笑う軍人の顔にクロはつばを吐きかけたい気持ちで一杯だった。
 このの世界がまともでないということは、どことなく理解していたクロではあるが、だからといって簡単に殺されてやるつもりもなければ、平然とこのような行為に及べる軍人を放置しておくこともできない。
 二匹は再び火花を散らす。飛びちった肉片は二人の戦いに巻き込まれ、さらに細かくなり、血の海と一体化する。
 どちらも何のために戦っているのかわからなくなってきたころ、一日が終わりを告げた。


パターン2 仲がいい軍人+クロ

 類は友を呼ぶ。二匹はその典型のような関係だった。
 戦うことが好きな軍人と、戦うことというよりも、戦うことによって得られるスリルが好きなクロは、自然と仲が良かった。時に悪戯をし、時に悪戯ではすまないようなこともしていたが、すべてはその一日だけの被害。明日になれば全てが元通りになってしまう。
 そんな世界なので、二匹もまったく遠慮というものをみせない。
「軍人君! クロ君! いいかげんにしたまえ。みんなが迷惑しているぞ!」
 二匹にスプレンディトが忠告するが、二匹は聞く耳をもたない。実力行使しかあるまいと考え、それを実行に移そうとしたスプレンディトだったが、それは叶わなかった。
「後ろに気をつけな」
 気づけばそこにはクロだけがおり、軍人の姿はなかった。まさかと思い、スプレンディトが後ろを振り向いた瞬間、銃で脳天を撃ちぬかれた。
 撃ち抜いたのはクロ。軍人は近くの草むらに隠れていただけだった。スプレンディトはまんまと騙されてしまったのだ。
 ヒーローが死んでしまっては、今日は町が酷いことになってしまうかもしれないと思ったスプレンディトであったが。元々ヒーローらしいことなどしていないので、もしかすると、町はいつもより平和になるかもしれない。
「よっしゃ! 次は何して遊ぶ?」
「そうだな――」
 悪魔のような二匹が恐ろしい遊びを始めなければ。の話ではあるが。