夢を見た。
 気味の悪い、妙に現実味のある夢だった。
 悪夢から覚めたオイラは隣にいるマタタビの姿を確認して、ほっと一息つく。どこも失っていない。右目もちゃんとある……と思う。

 夢の始まりはオイラがマタタビの目を抉ったところだった。
 マタタビは右目を抑えて、オイラを睨みつける。片目だけになってしまったその目には、オイラに対する強い憎しみで溢れていた。当然だ。でも、オイラは許して欲しかった。でも、そんな暇は与えられなかった。
 すぐに仲間だったはずの奴らに襲われた。何でかマタタビが助けてくれた。少し嬉しかったけど、そんなことしてもらえるような奴じゃないと思うと、悲しかった。
 あらかた敵、というか仲間というか……をマタタビがまた奇抜な武器で倒したとき、背後にドッチがいた。あいつは四足歩行しかできなかったはずなのに、二足歩行をしてて、しかも武器を持っていた。
 オイラが叫んだとき、もうマタタビはドッチに刺されていた。
 二匹は落ちた。マタタビはトラックに乗って、ドッチは道路に落ちて死んだ。オイラはマタタビを追いかけたかったんだけど、同じくらい気になるものがあったから、シマへ戻ることにした。ただ、この気になるものが思い出せない。わからない。その部分だけが消えている。
 次のシーンは、ひどく傷ついたオイラが見知らぬ人間に拾われているところだった。
 体以上に心がボロボロだってことはわかったけど、何でかはやっぱりわからなかった。
 そして、オイラは目を覚ました。

 本当に気味の悪い夢だった。忘れてしまおう。