なあ、聞こえてんだろ? ルーク。
どうしてお前はそこまで変わりたがるんだ? いや、変わるのが悪いとは言わねーけどよ。
人が変わるってのは、んなに急速なものなのか? もっとゆっくり変わったっていいじゃねーか。オレはオレだろ? 何でオレをこんな暗いところに閉じ込めたんだ?
「閉じ……こめた?」
そうだろ?
オレはお前。変わろうとする前のお前。
「……だって、オレは、変わらなきゃ…………」
変わらねーと、見捨てられる?
「…………っ!」
記憶がないと思ってた間、オレ達は辛かったもんな? みんながオレじゃないオレを見て、昔を思い出せって言うんだ。思い出さないと呆れられるんだ。
呆れられたくない。でも、記憶は思い出せない。当然だよな。だって、オレに記憶なんてなかったんだから。
「そうだよ。オレはレプリカだから」
そうだ。オレ達はレプリカだ。
「変わらなきゃ……」
変わらないと捨てられる。
「オレが悪いから」
違うな。
「何が……?」
オレも悪かった。でも、本当にオレだけが悪いのか?
「当たり前……だろ」
違う。違う。違う!
ヴァン先生を信じたオレだけが悪いのか?!
いいじゃねーか。ヴァン先生しかいなかったんだ。昔のオレを望まなかったのは! ヴァン先生だけだったんだ、オレを対等に扱ってくれたのはっ!
「でもっ……。みんなに相談するべきだった」
本当にそんなことできたのか?
「え?」
あいつらを、あの時そこまで信用できたのか?
何も話さないジェイド。暗殺者だったティア。誰かに喋っちまいそうなイオン。まだガキのアニス。ガイだってオレが亡命するなんて言ったら間違いなく止める。
本当に、そんな奴らに相談できたのか?
「それは……」
無理だろ。普通に考えろよ。
信用できない奴に何を言うんだ。
「いいわけだ。屁理屈だ!」
お前、本当にそう思ってるのか?
…………まあ、いいんだけどさ。お前がそうしたいなら。
だけど忘れるな。お前の心にはオレがいる。お前がそうやって虚勢を張って壊れていくくらいなら、オレが表へ出る。覚悟しとけよ?
END