ナサニエルはベランダから身を乗り出して空を眺めていた。
「おい? 何してんだよ?」
バーティミアスが声をかけるが何も反応しない。
「おいって……」
バーティミアスが再び声をかけようとしたその時、ナサニエルが、落ちた。いや、正確には飛び降りたという感じだった。
「ナサニエル―――!!!」
バーティミアスが間一髪ナサニエルを受け止める。
「あっ…バーティミアス……」
何してんの? と言いたげなナサニエルをバーティミアスはそのまま落とした。
「なにすんだよ?!」
飛び降りたときよりも低い高さだったので、ナサニエルは平気そうな顔をしている。
「ああ?! それはこっちのせりふだ!! 何飛び降りてんだよ! 死にてぇのか?! 死にてぇなら殺してやるぜ?!」
一気にまくし立てるバーティミアスにナサニエルは一言だけ言った。
「空に…・・・いけるような気がしたんだ」
ナサニエルはすっかり役人となって、仕事の毎日。もう十七だとは言っても、遊ぶことを知らなかったナサニエルは現実逃避をしたのかもしれない。
「ナサ…ニエル……」
バーティミアスはナサニエルの背中を掴んだ。
「バーティ――?」
ナサニエルが不思議そうな顔をした。バーティミアスはナサニエルを無視して、ナサニエルの背中から何かをはがした。
「う…ぁ……」
何かがはがれると、ナサニエルはそこに倒れ。
バーティミアスの手の中には、一匹の妖霊がいた。
「ナサニエルを殺そうってか?そんなことはさせねぇ…」
そのまま妖霊はバーティミアスにつぶされた。
次の日からナサニエルはいつもどうりだった。
END