05:ヤリたい
  (口には出せないけども)



 帽子を脱ぎ、休憩しているタクシーのもとにパブリックフォンがやってきた。
 心なしか頬が赤い。
「何だよ」
 予想はついたが、念のために口に出して聞いてみる。
「…………」
 しかし、パブリックフォンは口元を緩ませるだけで、答えようとしない。時々、こういう時があるので、タクシーも気にしなかった。
 タクシーの膝の間にパブリックフォンは割り込んでくる。
 このまま流されてやってもいいが、どうしようかと考える。溜まっているわけではないが、まったくヤリたくないわけでもない。
「仕方ねぇ」
 口角を上げる。
 たまには金のかからない遊びも悪くはない。




 電話は口には出さないけど、たまにタクとヤリたくなる。
 そんなときは、金はもらわないけど、快楽は貰うというスタンスでヤリます。
 どうでもいいですが、これ「口に出せない」でなく「口に出さない」って感じですね。